~訪ねるもの~

3/18
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「靴下つるしたか?」  二段ベッドの上から、弟にきいた。 「うん、3DSのソフトが入るくらいの」 「普段はいてるやつじゃんか、汚いな……。サンタさんかわいそうだろ?」 「いいんだよ。プレゼント入れるの父さんだし」 「いや父さんかわいそうだろ!?」 「いいんだよ。せっかくのクリスマスなのに、かぞくサービスもできない父さんなんだからさ」 「まぁ……たしかになぁ。クリスマスっつったら、家族か恋人へのサービスの日らしいからなぁ。オレ今日、道ばたでキスしてるカップル見たぜ? 近所のほら、声が高めのツンツン髪のつり目の兄ちゃん。初彼女だからって浮かれてさ、道ばたでチュ~~っだぜ?」 「ボクは今日、学校のかえりにチューしたよ」  思い切り吹き出してしまった。思わず体を乗り出して、下の段をのぞき込む。 「おまっ、マジか!? オレでさえまだっ──」 「いや、うそだけど……」  ……いやなちんもくだった。 『ホクトー、トキー、母さんちょっと友達にクリスマスパーティー呼ばれたから出ていくけど、遅くなるからー。二人とも早く寝なさいね~!』  救い、というのだろう。部屋の外から、いいタイミングで、いいニュースが入ってきた。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!