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「靴下つるしたか?」
二段ベッドの上から、弟にきいた。
「うん、3DSのソフトが入るくらいの」
「普段はいてるやつじゃんか、汚いな……。サンタさんかわいそうだろ?」
「いいんだよ。プレゼント入れるの父さんだし」
「いや父さんかわいそうだろ!?」
「いいんだよ。せっかくのクリスマスなのに、かぞくサービスもできない父さんなんだからさ」
「まぁ……たしかになぁ。クリスマスっつったら、家族か恋人へのサービスの日らしいからなぁ。オレ今日、道ばたでキスしてるカップル見たぜ? 近所のほら、声が高めのツンツン髪のつり目の兄ちゃん。初彼女だからって浮かれてさ、道ばたでチュ~~っだぜ?」
「ボクは今日、学校のかえりにチューしたよ」
思い切り吹き出してしまった。思わず体を乗り出して、下の段をのぞき込む。
「おまっ、マジか!? オレでさえまだっ──」
「いや、うそだけど……」
……いやなちんもくだった。
『ホクトー、トキー、母さんちょっと友達にクリスマスパーティー呼ばれたから出ていくけど、遅くなるからー。二人とも早く寝なさいね~!』
救い、というのだろう。部屋の外から、いいタイミングで、いいニュースが入ってきた。
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