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誰だろう────っていやいや、父さんしかいないよ!
なに恥ずかしい格好してくれてんのこの人!?
ヒゲまで黒いサンタさんなんてちょっとイカしてるけどかなりイカレてるよ!?
「ちょっ、父さんっ!? 早く入って!」
オレはすぐさま父さんの袖を引っ張って家の中に入れ、玄関の戸を閉めた。
こんなカッコで外に長くいたのか、すさまじく腕が冷たかった。
しかし気を使っている場合でもない。すぐさま、ありったけの子供心をぶつける。
「友達に見られちったらどうすんだよぉ! 何そのカッコ!? なんでブラックサンタなの!? いや正直ちょっとダークでかっこいいけども! けどダメだから、恥ずかしいから!」
「兄ちゃん? なに? 母さん帰ってき────うぁああ!!」
わざとらしく目をこすりながら登場した弟は、廊下で派手に尻餅をついた。
「何!? へんたい!? ちょっ、たいへんたい、119番!」
「や、やめろトキ、これ父さんだから!」
……混乱している。ここらへんはやっぱり小学三年生だな。まだまだオレがしっかりしていなきゃいけないって、改めて思う。
「だから119番するんじゃないか! 明らかにおかしいもん! 頭みてもらわないと!!」
「……どんな時でも冷静な判断ができるお前は、もう大人だな。お兄ちゃん安心したよ」
安心はしたけど、同時にちょっぴり淋しいのが兄心でもある。
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