~訪ねるもの~

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「じゃなくて! いい加減その服脱げよ父さん! てかその無駄にデカイ袋何!? トキの欲しいのは3DSのソフトだし、オレが欲しいのはDOIWAのリールだろ? そんなん必要ないだろ!」  息子たちを見下ろしながらも、何故か喋らない父さん。  イラついたオレは、その手に握られていた袋の端っこを思い切り引っ張った。  そうすれば、袋がフローリングに落ちて、ゴツンと鈍い音が床に響いた。  同時に、何か、生臭いような悪臭が袋の中から漂ってくる。 「ひっ!!」  立ち上がったばかりの弟が、悲鳴を上げて再び尻餅をついた。  なぜだろうか。背中に悪寒が走る。  弟のいる位置、弟の身長だと、袋の中身が見えたのか? 何を見たんだろう……。 「あ……あっ……!」  弟の反応は異常だった。顔を真っ青にして、今までに見たことが無いくらい怯えていた。  そんな弟には構わず、父さんが袋の真ん中を掴んで持ち上げる。  すると。ごろり、と。なにか硬いものが床に転がった。 「……え?」  「目を疑う」。この言葉の意味を、初めて実感した。
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