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……そんな想いが溢れだして、ついつい暴走してしまった。
しかも今まで茶化してばかりいた分、はずみがついて止まらなかった。
柳井さんからしてみれば、おれは空気の読めない、軽い男だろうな。
「……あーあ……、好きだなんて言わなきゃよかったのかなー」
ラーメンをすすりながら、ため息。
いつもより味がしょっぱい気がする。
親父は自分の分の卵を、少しわけてくれながら、ゆっくり話し出した。
「……タケルくん、さっきも言いましたが、好意を向けられて不快に思う人はいませんよ。
好意とは日の光みたいなものです。つらく、寒いときに、人を暖める力となる」
「……だけどさあ」
「その人が“困る”と言ったのは、タケルくんの気持ちに、何かしら応えないといけないのでは……と思ってるからですよ。
好意をもらったら、好意で返さなければいけない。人はそう思ってしまいがちですからね」
「うーん……」
「ですが、本来の好意とは見返りを求めないものです。
日の光はどんなときでも降り注ぐ。花が咲いても、咲かなくても。見守り、暖め、支えとなる。
タケルくんが、本当にその人のことを好きだというなら……そういう好意を与えるようにすればいいでしょうね」
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