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「……それで、タケルくんはどんな恋に悩んでいるのですか? もしや道ならぬ恋?」
「どんな恋だっつーの!
よくある話だよ。友達の彼女を好きになっちゃったの。それも結構マジにさー」
……しかも現在、事態はもう少し複雑になっている。
沢渡が交通事故にあって、入院してしまったのだ。
あまり詳しくは教えてもらえないけれど、意識が戻らずに回復の見通しがたっていないらしい。
沢渡自身ももちろん心配だし、柳井さんのことだって気がかりだ。
今日、親父のところに来る前に、偶然柳井さんに会った。
柳井さんは、なんと沢渡の弟と妹と一緒にいた。
沢渡の代わりに、アイツの兄弟の面倒をみているみたいだ。
柳井さんは、沢渡の回復を信じて、自分に出来ることをしながら待っているのだろう。
どんな思いで頑張ってるの?
もっと周りを頼ってもいいのに。
もたれかかってきてくれてもいいのにな。
学校では、柳井さんはあまり落ち込んだところを見せない。
元気がないなと感じることはあっても、それでも健気に微笑んでいる。
そんな頑張る彼女を元気にしてあげたいけど……
「あー!! おれってダメだー。自分が嫌になりそー」
今日の柳井さんとのやりとりを思い出して、頭を抱えた。
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