女の子は、みんな……

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「……親父……」 親父のいうことは、いつも回りくどくてわかりにくい。 書いている小説そのままだ。 だけど……今言いたいことは何となくわかった気がする。 「……うん、そうだねー。おれさー、喜んでほしいとか、ちょっとはおれの気持ちに気づいてほしいとか思ってたよ。 それってきっと、どっかで押し付けみたいになってたのかもね。 ……おれ、見守りたいな。 その子がつらいときも、嬉しいときも、見返りを求めないで、そっと元気づけられるようになりたいな」 「タケルくんなら大丈夫ですよ。君は、優しい子ですから」 「はは……」 自分の息子に全く照れることなくこういうことが言えるのは、親父のすごいところだと思う。 言われてるこっちがこそばゆいよ。 「……それにしても、タケルくんが一人の女の子に夢中になるなんて珍しいですね。 それほど魅力的な方なんですか? どんな方です? 久美子さんに似ていますか?」 「はあ!? 母さんに似てるわけないじゃん! おれと親父の趣味は違うよ」 別に母さんが嫌いなわけじゃないが……。 うちの母親は『もしもジャ〇アンのかあちゃんがキャリアウーマンだったら』みたいな感じの人だ。 残念ながら、ああいうタイプにときめいたりすることはない。 「……母さんとは全然違うよ。大人しくて、どっちかっていうと引っ込み思案で…… でもすごく頑張り屋なんだ」 おれの頭に、柳井さんの笑顔が浮かぶ。 それは沢渡と一緒にいるときの笑い方だった。
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