女の子は、みんな……

25/30

2789人が本棚に入れています
本棚に追加
/800ページ
――――ときは流れて4月。 少し遅めの桜が咲く頃、おれたちは3年生になった。 幸か不幸か、柳井さんとおれは同じクラス。 しかも何の縁か、席替えで席は隣同士。 さらに、同じ図書委員になってしまった。 柳井さんは髪を伸ばしているらしく、真っ黒なサラサラの髪は肩を越すくらいになっていた。 ほんの少し大人っぽくて、そして綺麗になった。 席や委員のおかげで一緒にいる機会が増えて、2年生のときよりも柳井さんとたくさん話す。 ほとんどが本の話と、そして沢渡の話題。 柳井さんは、沢渡のリハビリが上手くいっていることや、サッカー部に入ったことを本当に嬉しそうに話してくれる。 沢渡の近況がわかるのはおれも嬉しいので、そんな彼女の話を自分からすすんで聞いていた。 「……よかったね、柳井さん。沢渡、幸せそうだね」 話の最後はいつもそうやって締めくくる。 すると柳井さんは、まるで自分のことのように幸せそうに笑った。 おれも笑えているかな、こんな風に――――。 .
/800ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2789人が本棚に入れています
本棚に追加