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家に帰ってから、自分の部屋でクッキーの包みを開けた。
フワリとただようお菓子の匂い。
色々なハーブやスパイスを使っているらしく、甘い香りだけじゃなかった。
いびつな丸い形が手作りっぽくて微笑ましい。
柳井さんはこれを作るとき、ちょっぴりでもおれを思い出してくれていたのかな。
だったら幸せだ。
『松田くんと仲良くなれて良かった』
それはおれにとって、これ以上ない誉め言葉。
だってさ、それっておれがほんの少しでも柳井さんを幸せに出来てるってことだよね。
親父の言っていた、見返りを求めない好意に少しでも近づけているのかな。
柳井さんのこと、照らして暖められているのかな。
ああ……そうだったら、嬉しいな。
――――ねえ、柳井さん。
おれさ、こんなに好きになった相手が君で良かったと思ってる。
いつでも一生懸命で、優しい君。
フワフワしてるかと思えば、ビックリするくらい芯が強い。
そして君はおれの友達を幸せに出来る、たったひとりの女の子なんだ。
おれもすごく尊敬しているよ。
この気持ちを完全に友情にするのは、まだまだ時間がかかりそうだけど。
今はまだ、ひとりの女の子として君が大好きだけど。
いつか本当に友情になったとき、おれも君にありがとうと言うね。
『おれと友達になってくれて、ありがとう』
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