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「はーい、次おれ! いきまーす!!」
「ちょっ……、松田マジで!? わたし、この曲マジで好きなんだけど!
やめてよ、イメージ崩れる!!」
「どーゆー意味だよ!!」
カラオケの中はとても賑やかだ。
みんな楽しそうに歌を選んだり、手拍子やタンバリンを叩いたり、はたまた友達同士でおしゃべりしたりしている。
――今は、打ち上げの時間。
無事2日間の文化祭を終えた2年3組の私達は、一度家に帰って着替えてから、中宮駅前のカラオケに集合した。
自慢じゃないけど、ずっと友達の少なかった私には、こんな打ち上げに出るのは初めて。
ちょっぴり緊張していたりする。
「ねー、晴香。晴香も何か歌いなよ! 入れてあげよっか?」
そんな私の隣に座ったナツメちゃんが、明るく話しかけてきた。
「え、い、いいよ! わ、私は聞く専門!」
「えー、1曲くらい歌えばいいのに。
沢渡見なよ。アイツ、もうずっと歌いっぱなしじゃない?」
「確かに……」
私は熱唱する松田くんの隣で、マイクを持つ陸くんに目をやった。
カラオケが始まってから、なんやかんやで陸くんはほとんどマイクを握りっぱなしな気がする。
別に自分からそうしているわけではなく、みんなが彼にマイクを回すのだ。
盛り上がるし、楽しいから。
たまに歌ってないときも、ひっきりなしに話しかけられているし。
人気者も大変だ。
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