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そうこうしている内に、松田くんの勝負曲(らしい)が終わった。
松田くんはご機嫌な様子で、マイクを持ったまま私達の方にやって来る。
「柳井さん! 楽しんでる? おれの歌、どーだった?」
「え、う、うん、良かったよ。上手いね、松田くん」
「マジで? やったね! 柳井さんに誉められた!」
「……あはは」
松田くんはそのまま立ち去るのかと思いきや、何やらキラキラした瞳で私を見つめていた。
「あ、あの……松田くん?」
「柳井さん、2年3組を代表して質問がありまーす!!」
「え?」
わざわざマイクを通して、声を響かせる松田くん。
「柳井さんと沢渡って、付き合ってるんですよね?
ここらでハッキリ発表しちゃってくださーい!!」
「ええ!?」
突然の展開に頭が真っ白になる。
慌てて周りを見ると、みんなニヤニヤしてこっちを見ている。
驚いた顔をしているのは、陸くんだけだ。
しかも丁寧にもいつの間にか次の曲はキャンセルされていた。
(……は、はめられた)
クラスをあげてのサプライズに、返す言葉もなかった。
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