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陸くんはアッサリと言い切ると、松田くんにマイクを返した。
そして何でもない顔をして、私の隣に座る。
一方、クラスのみんなは大盛り上がりだ。
『きゃー』だの、『うわー』だの、様々な歓声が飛び交っている。
「沢渡ー、詳しく聞かせろよ!」
「柳井さん、沢渡のどこがいいわけ?」
「よかったねー、晴香ちゃん!」
「沢渡、爆発しろ」
「……うるせーよ! 俺らの話はもう終わり。後はご想像にお任せします。
あと爆発しろって言ったヤツ、お前が爆発しろ!」
陸くんは笑いながらそう返すと、さっさと新しい曲を入力してカラオケを再開してしまった。
他のみんなも興奮は冷めないみたいだったけど、とりあえずそれに乗ってくる。
私は顔は熱いし、胸は苦しいしで死にそうだ。
(……うう、恥ずかしすぎる。しかもバッチリ公認になってしまった)
こんな私が、人気者の陸くんの彼女だなんて。
月曜日に学校に行ったら、クツに画ビョウがビッシリ入ってたらどうしよう。
それか体育館裏に呼び出されて『沢渡と別れろ』とか言われたり……。
一昔前の嫌がらせを思い浮かべては、冷や汗が流れた。
……だけど。
「…………!」
隣に座る陸くんが、そっと私の手を握ってきたから、
そっちに意識が集中してしまい、他のことは吹っ飛んだのだった。
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