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次の日。
孝之くんからメールが来ていた。
『昨日は、なんか悪かったな
おれ、とーこが藍大受けるの、反対とかじゃないから。
でもさ、とーこのしたいことしてほしいんだ。
おれに付き合ってばっかはよくないじゃん』
(……もう! なんにもわかってない!!)
お母さんみたいなこと言って!
孝之くんには、わたしの気持ちなんてわからない。
だって、孝之くんには……大好きなサッカーがあるんだもん。
わたしと違って、サッカーを続けていられるんだもん。
(……孝之くんは、いいよな……)
本当は、自分でもわかってるんだ。
お母さんにイライラしたり、孝之くんにムカついたりするのは、将来がハッキリ見えなくて不安だから。
目標がほしいと、実は強く願ってる。
小学校のころ……わたしはサッカー選手になりたかった。
だけど、その夢はもうない。
諦めてしまったから。
(……男の子はいいよな)
もしも、わたしが男の子なら、まだその夢を追っていたのだろうか。
(……ズルいな……)
そうすれば、こんなに焦ったりはしなかったのだろうか。
孝之くんからのメールは『ところで明日、放課後空いてる? ファミレスで勉強会しないか』と、締めくくられていた。
どうしよう……
孝之くんに会いたいような会いたくないような、複雑な気持ちだ。
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