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文化祭が終わったくらいのタイミングで、柳井さんは沢渡と公認の恋人同士になった。
クラスではすごい話題。
驚いていたヤツが多いけど、おれは特にビックリしなかった。
だって2人がお互いのことを好きなの、ずいぶん前に気づいていたからさ。
柳井さんのこと見てたら、すぐにわかったんだよ。
それにしても、これっておれは失恋ってヤツ?
柳井さんのこと、すごく気に入ってるのは事実だし。
多分、ひとりの女の子として好きだと思う。
でもさ、だからと言って、沢渡からとってやろうとかは思わないんだ。
だって柳井さんは、沢渡といるときの顔が一番可愛いし。
沢渡だって柳井さんといるときが、なんというか一番無理してない自然な感じがする。
それって、きっと2人がお似合いってことだよな。
そんな仲を裂くなんて、あまりにカッコ悪い。
だからおれは、2人を応援することにした。
おれは柳井さんも沢渡のことも好き。
だから2人が幸せならいいじゃないか。
むしろ幸せの二乗みたいな感じで、お得じゃん!
……と、明るく考えることにした。
だけど……
それでも気づくと柳井さんを探してしまう。
彼女の黒い髪の後ろ姿を見つけると、それだけで嬉しくなる。
柳井さんは、絶対おれの女の子にはならないのに。
おれは、女の子っていうと、真っ先に柳井さんの笑顔が思い浮かぶんだ。
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