女の子は、みんな……

15/30
2789人が本棚に入れています
本棚に追加
/800ページ
文化祭が終わったくらいのタイミングで、柳井さんは沢渡と公認の恋人同士になった。 クラスではすごい話題。 驚いていたヤツが多いけど、おれは特にビックリしなかった。 だって2人がお互いのことを好きなの、ずいぶん前に気づいていたからさ。 柳井さんのこと見てたら、すぐにわかったんだよ。 それにしても、これっておれは失恋ってヤツ? 柳井さんのこと、すごく気に入ってるのは事実だし。 多分、ひとりの女の子として好きだと思う。 でもさ、だからと言って、沢渡からとってやろうとかは思わないんだ。 だって柳井さんは、沢渡といるときの顔が一番可愛いし。 沢渡だって柳井さんといるときが、なんというか一番無理してない自然な感じがする。 それって、きっと2人がお似合いってことだよな。 そんな仲を裂くなんて、あまりにカッコ悪い。 だからおれは、2人を応援することにした。 おれは柳井さんも沢渡のことも好き。 だから2人が幸せならいいじゃないか。 むしろ幸せの二乗みたいな感じで、お得じゃん! ……と、明るく考えることにした。 だけど…… それでも気づくと柳井さんを探してしまう。 彼女の黒い髪の後ろ姿を見つけると、それだけで嬉しくなる。 柳井さんは、絶対おれの女の子にはならないのに。 おれは、女の子っていうと、真っ先に柳井さんの笑顔が思い浮かぶんだ。 .
/800ページ

最初のコメントを投稿しよう!