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そう直感した。
と、まさにそんなことを考えていた時、足跡がした。
カツンカツンと見るからに、いや。
聞くからに高級そうな靴で歩く音がした。
そしてそんな足跡が聞こえたと思ったら斜め45度くらい左の、恐らく元は扉かなんかあったらしいところから入ってきた。
全身黒いスーツを来たその男は。
いや、この場合周りがほぼ暗闇だから黒いスーツではないのかも知れない。
まあ、そんなのどうでもいい。
ただ、その男は予想通り高そうな革靴を履いていた。とだけは言っておこう。
「いやーそろそろ起きるころだなーって思ってたけど何?グッドタイミングじゃん」
うぜえ、テンションが。
教室中に響くくらいうるさかった。
「まあさ、何もないしみったれたとこだけどゆっくりしてってよ。ってももうあんたに用はないんだけどな」
「…………」
一瞬ツッコみたくなったけどやめた。
なんだかこいつと話すとそのままこいつのペースに持って行かれそうで怖かった。
「…………チッ」
向こうもこっちの考えが分かったようで。
あからさまの舌打ちをされた。
「お前ってさあ、そんなにつまんない人間だったっけ。この前は結構頑張ってたじゃん」
「…………」
俺はそれでも無視を続けた。
スーツの男をずっと見たまま。
「……まあいいや。お前と俺との関係もどうせそう長くはないし」
それだけ言って男は去って行った。
「……はあ」
深くため息をつく。
こんな状況でどうすることも出来ない自分が情けない。
いや、そもそも普通に生活していく上でこんな状況滅多にないんだが。
それでも俺は、ここにいる。
それだけで心が痛い。
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