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「……何?」
「お前、背ぇデカいよな」
「……そうか?」
「身長いくつ?」
「……185」
「はあ? 何それズルッ! 俺157cmしかないのに!!」
「ズルくねーだろ……」
「いーやズルい! 神様は不公平だ!」
「……ククッ、変な奴だな……お前」
小さく笑う竜に、素直は驚いたのか目を見開いた。
急に黙った素直に竜は首を傾げて、再び無愛想な顔に戻る。
「どうした?」
「何だ。お前笑えるんだな」
「……失礼な奴だな」
「だって、さっきからずっと同じ顔してっからさ。あ、なあなあ」
「今度は何だ」
「リュウって変な噂いっぱいあるらしいけど、どこまで本当なんだ?」
「噂?」
「知らねーの? 喧嘩強いとか危ないことに手を出してて女に困らないとか変な場所に出入りしてるとか」
「さぁ……身に覚えはないけど……人と話なんかロクにしないから噂なんか聞いたことなかったな……」
竜は長い前髪を掻き上げて、ため息をつく。
どこか寂しげに映るその表情に、素直はニコッと笑って竜を見つめた。
「何だ。やっぱ噂でしかないんだな! 俺、楠木素直。よろしくな、リュウ!」
「……何の宜しくなんだ?」
「決まってんだろ。友達だよ友達! 高校生になってからの友達第1号!」
「小学生みたいなこと言うんだな」
「小学生じゃねーよ! 俺は今日から立派な高校生だ!」
「……ふっ。本当に変な奴……じゃあ、改めて俺は夏川竜。よろしく」
その数時間後、2人は寮で同室になることを知った。
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