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陽が昇り、携帯のアラームが朝を告げる。
青年はリビングのカーテンを開けて窓から朝焼けを見た。
海岸沿いにある一軒家。
一人で住むには立派すぎるその家で、青年・沢渡海は暮らしていた。
リビングの壁一面の大きな窓は海に面していて、カーテンを開けば海に照らされた太陽の光が注ぎ込む。
「ふあ、あああ……」
大きな欠伸を一つして、日課である海の散歩へ行く。
色素の薄いウミの髪は太陽に透けてキラキラと光る。
少し長い前髪を掻き上げ、眩しい朝焼けに目を細めた。
「……ん?」
砂浜の上で何かを見つけた。
たまに見つけるゴミかと思い近付いてみると、そこに居たのはまだ幼い少年だった。
慌てて駆け寄って抱き上げると、微かに胸が上下している。
生きてると解り、ホッと胸を撫で下ろしてウミは少年を抱えて近くの診療所へ向かった。
見た目は中学生くらい。
深い青の髪が印象的な少年。
何故、こんなところで倒れていたのか不思議な点ではあるが、今は医者に見せるのが先決。
この時、ウミはまさか少年を拾う日がくるとは思わなかったなと、そう思っていた。
その後に起こることなど、全く予想していなかった。
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