01.兄と弟

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. 「ったく……なんでお前ばかりニョキニョキ伸びてんだよ……」 「俺、まだ成長期だから伸びるよ」  これでは兄の威厳はまるで無い。  何より悲しいのは壱が稜哉を好きだからこそ、やるせない気持ちでいっぱいなのだ。  稜哉が生まれてから、共働きで忙しい親の代わりにイチが弟の面倒を見ていた。  その頃から壱は稜哉が一番大切で、その気持ちはいつからか恋に変わっていた。  ずっと弟は自分が守ると思っていたのに、稜哉は中学に入ってからグングン成長していき、中3になった今、成長が止まってしまった壱よりデカくなってしまった。 「くそーなんだよ成長期って……なんでリョウヤばっか……同じメシ食ってきたってのに……」 「ん~……遺伝?」 「同じ遺伝子継いでるはずなんですけど……?!」  毎朝溜め息を吐いて登校する毎日。  2人は彩戯学園の施設内に入り、それぞれの学生棟へ別れた。  壱は大学練へ。稜哉は中学練へ。 「じゃあイチ兄、またお昼にね」 「ん」  稜哉の背中を見送り、壱も校舎へ向かう。  なんで弟なんか好きになったのだろうと、少し後悔しながら。 .
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