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ヒサこと、宮間久紀(ミヤマ ヒサノリ)は同じクラスの同級生だった。
ヒサは俗にいうクラスの人気者。
キラキラした笑顔で女子にモテて、人懐っこい性格で男子にも好かれて、成績も良いから大人からの評判も良かった。
それに対して俺は根っからの卑屈で根暗で、高校生になった今でも友達はいない。
別にいじめられてるとかじゃない。
クラスの奴に話しかけもすれば、話しかけられたりもする。
ただ、深く関わらないだけ。
ただ、目立たないだけ。
こんな俺とヒサは一生関わりのない人生を歩むんだと、あの日までそう思ってた。
「藤沢暁良(フジサワ アキラ)君」
「……」
「あれ、違った?」
「違、わない。宮間に声を掛けられるとは思わなかったから」
とある放課後。
帰ろうと玄関で上履きから靴に履き替えていたら、宮間に突然話しかけられた。
宮間の色素の薄いサラサラの茶色い髪は、ベタッとした俺の黒髪とは段違いで綺麗だった。
「一緒に帰らない?」
「なんで」
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