7/15.【始まり】

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. 「帰りたいから」 「俺じゃなくても宮間なら一緒に帰りたい奴、たくさん居るだろ」 「俺は暁良と帰りたい」  いきなり名前を呼ばれてビックリしてると、宮間は俺の腕を引っ張ってさっさと歩いていった。  何なんだ?  なんで俺は宮間と帰らなきゃいけないんだ?  そもそも何で宮間は俺なんかと帰りたがる?  訳が解らない。 「ずっと話がしたかったんだ」 「俺と?」 「うん。クラスの奴で話をしたことないの暁良だけだったから」  つまり興味本位か。 「だから、ずっと気になって仕方なかった。暁良はいつも独りだから」 「……」 「いつも見てたこと、気付かなかった?」 「全然」 「そっか。俺はね、君が好きなんだ」  その言葉に俺の足は止まった。  止めようとした訳でもないのに、勝手に止まって動かなくなった。  またしても意味が解らないことをコイツが言うからだ。  好き? クラスの人気者が根暗な男を。  しかも女子じゃなくて男子を好き? 「信じられない?」 「当たり前だ」 .
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