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『 ――。』
「――ッ!」
久々に昔の夢を見た。
それは自分がまだ子供で…、
あの人が今よりもっと若々しかった頃の夢。
(もう、忘れたとばかり思って居ましたが…)
わずかに開いた障子の隙間から入ってきた風が頬をなでた。
「少し、風にあたりましょうか」
縁側に座り、真上に輝く月を見上げる。
『菊、月が綺麗あるな…』
「………」
思い出されるのは、
ほんの昔の出来事。
(私は…あの人を傷付けたのに…)
さらさらと風が流れ、柳の葉を揺らす。
そんな些細な光景でも、
記憶のすみに眠る光景は鮮やかに思い出された。
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