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「ごめんなさい。
好きな人ができたの。
だから…別れてください」
少年の前に立つ涙目の女の子。別れを告げて走り去る女の子を、必死に追いかけようとするが、体が動かない。
(頼む!待ってくれ!!)
カクン。
教室の一番後ろの窓際の席。頬杖していた手が滑り、頭が机にぶつかりそうになっている少年がいた。
(ついつい寝てしまった。それにしても、何であの時の事が、今頃夢に出てくるんだ?)
キーンコーンカーンコーン
終わりのチャイムが鳴り響き、今まで静かだった教室が急に騒がしくなる。
「ふぁー」
少年は、大きく背伸びをした。
(やっと午前中の授業が終わった。それにしても眠いなぁ。昼飯食べずにこのまま寝ようかな)
少年は、とにかく眠たそうにして目を擦ると、また机に頭をつけて寝ることにした。
机にうつ伏せになって寝ている少年の名前は、市原慎哉(いちはらしんや)。この物語の主人公だ。桜木高校に通う二年生。中学三年の冬、一年半付き合っていた彼女と別れている。
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