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その男は狂っていた。
「あははは、ひは、あはっはっは、ひはははっ!!
そそそ、そうだね!ぼくはくるくるくるってる!!
ころさせてくれ、ころしてくれ!くるいたくない、くるっていたい!」
取り調べ室で不安定なリズムで陽気に笑う男。彼には名前がない。あるのかもしれないが、彼は口に出さない。
ただ、彼はこう言う。
「みかづきさ!くるったみかづきではねる、うさぎなのさ!!
あ、はははっひはは、ははははっっ。、。はははっっっっっはっははは」
三日月ウサギ。
不思議の国のアリスに登場する、常時狂ったウサギ。
「おおおおちゃかいが、あるんだ!でででででないと、じょおうにくびをちょんぎられてしまうのさ、さ、さ、さ!!」
狂っている。壊れている。イカれている。逝っている。飛んでいる。
まさにそれが当てはまるほどの狂いっぷりだ。
がしゃんがしゃんと、椅子に縛り上げられた体を何度も弾ませる。
よだれと鼻水で顔が汚れ、嬉しそうに唇を歪めている。
「くび、くびかりがくるぞぉぉぉぉぉおおおおおおお!!!」
そう叫ぶと、まるで畦道を走るトラックに乗ってるかのように激しく体を揺らす。
手錠した手首から血が染み出てきて、椅子が壊れそうで。
警官たちは思わず、後づさる。
「あひゃ、あひゃひゃひゃっひゃっっっひゃhyーーー」
ぼと。
男の笑い声が突然止み、部屋の中が静まり帰った。
ころころと、男の頭が転がってくる。
っぶしゃぁぁぁ!!
そして汚い噴水が部屋を綺麗に染めていく。
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