2012年1月1日記念書き下ろし~新年初騒ぎ~

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 容姿はまるきり正反対だけど、とても仲が良いのがこの兄弟だ。  …そしてあと二人、最初に結菜を呼んだであろう二人が居るのだ。 「じゃあさじゃあさ! 迷子だったら、僕たちが家に連れて帰っても大丈夫だね!!」 「そうだね、仙! だって迷子だったら一人で帰れないから逃げられないもんね!!」  恐怖めいた言葉を笑いながら口にしているのは8歳年下のいとこ、仙と素央。とても元気で、年相応の背丈であるのに、年に到底そぐわない発言ばかりの双子である。  無邪気に笑う彼らは、色違いの赤と青のジャンパーを着ていた。 「…で? 迷子なんだろ?」 「違……」 「…ふ~ん? それ本当だな? …なら、俺らがこのまま結菜をここに放って行っても何ら問題はない、と?」  わざと、挑発するように笑ってみせた靖吉の言葉に、案の定 結菜が言葉に詰まった。 「…そ、それ……は…………」  ここで強がって、本当に置いていかれでもしたら大変困る。 今度こそ泣くのは確定だ。 「…ん? だって迷子では、ないんだろ?」 「………………」 「…どうなんだ?」  わざと念を押して訊くと、結菜は顔を俯かせて小さく呟いた。 「…迷子………です……」  やっと折れた結菜を見て楽しそうに笑うと、靖吉はウエストポーチからおもむろに携帯を取り出して、慣れた手つきで電話をかけた。  すぐに聞き慣れた声が聞こえてくる。 「…あ、仁戸? …そう。迷子発見したからさ、これからお参りして、その後お前ん家行くわ。…うん、うん、分かった。夜一にも伝えといてな。じゃ、また後で」  短い通話を終えると、靖吉は結菜の顔を覗き込んだ。 「実はさ、俺たち、仁戸からの迷子捜索依頼を聞き入れてたんだよ。…義弟の仁戸も、兄さんの夜一もえらい心配してたぞ」  コツンと額を小突かれる。 「ご、ごめんなさい……」  一瞬にしてシュン…としおれた結菜の頭を、靖吉はくしゃりと撫でて微笑んだ。 「…なに、今度から気をつければいいさ」  励ますように笑いかけると、結菜は小さく頷いた。 「…うん。今度からは気をつける……」  その様子に微笑した汀卒が口を開く。 「…じゃ、反省はここまでにして。お参り、行こっか?」 「そうだな」 「だな。…あ、でもまた結菜が迷子になるんじゃ……?」  賛同した律と言成だったが、言成がそんなことに思い当たって眉をひそめると、篤斗と靖吉がこともなげに同時に声を上げた。
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