アルバイト

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勢いよく数字ボタンを押して、いったい誰が電話に出るんだろうとドキドキしながら受話器に耳を傾ける。三回目のコールで、電話に出る音がした。 「もしもし、バイト募集見てお電話したんですが…」 そういうと受話器の向こう側から低すぎず、高すぎずの丁度良いトーンの男性の声が聞こえた。 「そうですか、お電話ありがとうございます。それでは明日の朝10時、北川区の7丁目の大きい屋敷に来てください」 そう男性は早口で告げると私の返事も待たずに切ってしまった。北川区7丁目といえば豪華なお家が建ち並ぶ住宅街だ。それなのに『大きな屋敷』だけでわかるものなのだろうか。 「それにしても無愛想だなぁ」 これが最初の印象だった。
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