『笑顔6』

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『タロちゃん聞いて、ヒロがね』 『タロちゃん、ヒロってね……』  ヒロの事ばかり。  なんだか面白くない。  初めてヒロがやって来た日。  メリちゃんよりもずっと大きくて、こわい顔。  おっきな手で乱暴に頭を撫でるから、痛くてぼくは怒ったんだ。  そしたらメリちゃんが、ぼくを怒った。  なんで?  いつでもぼくを1番に思ってくれてたのに。  話しかけても、 『タロちゃん、後でね』  ヒロが、先。  ぼくは、あと。  おっきくて優しくないヒロに、メリちゃんをとられた。  ぼくは悲しくて、悔しくて、切なくて、苦しくて。  だから、ここを出ることにした。  メリちゃんの事が大好きなのに、一緒にいると辛いんだもの。  それからいくつかの夜を越え、朝を迎え。  ぼくは、気ままな暮らしも悪くないな、なんて思いながら、ぶらりと街を歩いていた。  
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