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さて、その後は何事も無く授業も終わり、やってきました昼休み。
「…………」
無言でロキを見つめていたルフィーナも、この時間からテンションが上がる。
理由は簡単。ロキの母親が作る弁当に、晃が持ってくる一品料理、取り巻きが持ってくるクッキーやケーキ等々、色々な料理が並ぶからだ。
それだけ量があると、机に乗り切らない。
そのため、ロキとルフィーナ、それにケイと晃の4人は、いつも屋上で食事するようにしていた。
「クッキー上手いな!」
これだけ料理があると、ケイなどは弁当いらず。
クッキーやらケーキやら、手当たり次第に口に運ぶ。
「ふむ。クマよ。この肉の塩蒸しとやらは、実に美味じゃが、出来ればもう少し香りが欲しいのぅ。香草を一緒に蒸すのはどうじゃ?」
「僕もそう思ったんだけど、どんな香草がいいのか迷っちゃって……。ロキ君はどう?」
晃に問われ、ロキが肉を一切れ口に。
「うん。僕なら、酸味のある香りがあると嬉しいな」
ロキが、率直な感想を口にすると、晃が嬉しそうな顔でメモを取り出し、直ぐに書き込む。
「ルフィーナさん。ロキも!
クマさんの作った飯は上手い!
それでイイじゃん!」
肉の塩蒸しを、遠慮なく口に運ぶケイの顔は、本当に幸せそうだ。
「うむ。一理あるが、美味な料理をさらに美味にすることも一興じゃ」
幸せそうなケイに、笑顔で返したルフィーナを見て、晃は嬉しそう。
ロキも、楽しそうにお米を口に運ぶ。
そんな、うららかな昼下がり。
『ル、ルフィーナ様!』
鬼気迫る声が、屋上にいたロキ達全員の脳裏に響き、皆が一様に空を見上げる。
ロキ達が空を見上げたのと、空から大きな翼をはためかせ、一匹のブラックドラゴンが落ちてきたのは、ほぼ同時だった。
しかも、ご丁寧にブラックドラゴンの尻尾がケイにだけのしかかり、ケイは悲鳴を上げる。
「オグエエエエ!」
のどをすり潰したような悲鳴と共に、ケイが助けを求めてロキに手を伸ばす。
「だ、大丈夫?」
慌てたロキが、ケイの伸ばしてきた手を掴み、ブラックドラゴンの尻尾から引き出そうと奮闘していると、ルフィーナが不機嫌そのものといった表情で、落ちてきたブラックドラゴンに近付き、軽々とブラックドラゴンを持ち上げた。
そして――
「妾の、食事を、邪魔するでないわ!」
怒声と共に、ブラックドラゴンを投げ飛ばすのだった。
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