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「痴、痴女! アナタ! 妾は妻じゃぞ! 妻の事を痴女扱いは酷すぎじゃ!」
「さっきケイも言ってたよ?」
「ケイは妾の夫ではない!
妾は、アナタに言われたのがショックなのじゃ!」
始まったルフィーナとロキの口喧嘩を、聞くとも無しに聞きながら、ふとケイが息を吐く。
「彼女がいるって、イイよな」
うらやましくて仕方ない。
そんな思いを込めたケイの呟きに、晃が目を細める。
「ケイ君にも、いつか可愛い彼女が出来るよ」
「ちぇ……。クマさんだって、彼女いないだろ?
今度、合コンしようぜ!」
どこか達観している晃へ、ケイがニヤニヤ笑いながら提案すると、晃は「それもイイね」と頷いた。
「その時は、特製のお菓子を作っていくよ。でも……合コンだったら、ロキ君は来れないね」
「イイんだよ。だいたい、ロキが来たら、ルフィーナさんまで来るって事だぜ?
ルフィーナさん見たら、他の女の子が引いちゃうしな」
「どうして?」
「どうしてって……。アレでルフィーナさん、顔“だけ”は美人だろ?
合コンに呼ばれてもないのに、いきなりルフィーナさんみたいな美人が現れたら、他の女の子は嫌がるさ」
ケイの説明がいまいち分からない晃は、上を見上げ、顎に人差し指をそえながら、しばらく考えた後、何となく理解できたらしく、未だに口喧嘩を継続させているロキとルフィーナを見て頷いた。
「綺麗すぎるのも、何かと大変なんだね……。でも、ああして口喧嘩してる2人を見ると、僕には良いコンビに見えるから、あの2人はアレで幸せなんだよね?」
細い目を更に細めて笑う晃を見て、ケイが「出たよクマさん流『幸せ論』」と言いながら、やれやれと言うように首を振る。
「ホント。クマさんらしいな。クマさんの好きな女って、どんな人なんだ?」
普段からおっとりしていて、いつも笑顔を絶やさない晃なだけに、好みな女性が気になるらしく、興味津々でケイが尋ねると、晃は先ほどのように顎に人差し指を添えて考え始める。
「そうだねぇ。僕は……やっぱり、僕の作る料理を食べて、幸せそうに笑ってくれる人が好きかな。ケイ君は?」
何となく予想出来る答えを告げた晃が、ケイに問い返すと、ケイは待ってましたと言わんばかりに身を乗り出す。
「俺はぜ~ったい! 童顔で巨乳で、笑顔が可愛い女だな!
大きな胸に顔をうずめて、1日眠りてぇ~!」
好みのタイプを妄想し、ケイはだらしない顔で笑うのだった。
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