試験だよルフィーナさん!

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「ケイ君らしいね」 だらしない顔をしているケイに向かって、晃がそう言うと、何を思ったのか、晃はロキにも問い掛ける。 「ロキ君は、どんな人が好きなの?」 それこそ、火に油を注ぐような問い掛けに、だらしない顔をしていたケイは「チョッ! クマさん!」と慌てて晃を黙らせようとしたが、それよりも早くルフィーナが晃に噛みついた。 「クマ! 好みなど、妾に決まっておるではないか! そのような野暮な事を聞くで――」 「僕は、お淑やかな女性に憧れるかな」 「………………ふえ?」 ルフィーナの話を遮り、ロキが呟いた一言が、ルフィーナを凍り付かせる。 更に、このロキの一言が、ケイや晃を納得させるものだったから大変だ。 「嗚呼。何となく、ロキが憧れる理由が分かる気がする」 とケイが言えば……。 「ルフィーナさんには無い部分だしね」 と、晃の天然らしい一言が炸裂する。 すると、当然ルフィーナは泣き始める訳で……。 「ううう……。妾をイジメて楽しむとは……夫は鬼じゃ。ドSじゃ。鬼畜じゃ」 すると、ルフィーナの発言の中で、ケイや晃が思わず納得出来る部分があったらしく……。 「嗚呼。確かに、ロキってドSだよな」 と、ケイが言えば……。 「何気なく、胸を刺す言葉を言うよね」 と、晃までもが納得している。 このケイ達2人の意見に対してロキは……。 「そうかな?」 と、不思議そうな顔をして見せた後……。 「でも、ルフィーナさん。自分にお淑やかさが無いのは認めるんだね?」 などと余計な一言を言い放ち、益々ルフィーナにショックを与える。 しかも、ショックを受けたルフィーナを見て、ロキが無邪気に笑って見せるものだから、ケイや晃はお互いに顔を見合わせ、自分の言った事が正しかったと頷きあう。 そんなケイ達を余所に、ロキから「お淑やかさが無い」と言われたルフィーナは、口惜しそうに唇を噛んで消えそうな声で呟く。 「妾が、嘘をついたところで、直ぐバレるではないか……」 どうやら「淑女にもなれる」と言いたいのに、直ぐ「嘘だ」と言われると分かっていて、言えないようだ。 そして、聞いて欲しくないからこそ、消えそうな声で呟いたにも関わらず、ちゃっかり聞いていたロキが、童顔に似合わぬ笑みを口元に張り付ける。 「ゴメンね。僕、ルフィーナさんに、お淑やかさなんて求めてないから」
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