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「ひどっ!」
ロキの話に、ケイが直ぐツッコミを入れ、晃がルフィーナを励ます。
「ルフィーナさんは、ルフィーナさんだから、お淑やかじゃなくてもイイと思うよ」
「いや、クマさん。それ、フォローになってないから」
今度は晃にツッコミを入れ、場を和ますようにケイが次の話題をふった。
「ロキ。明日、朝は一緒に稽古しようぜ!」
すると、ロキは嬉しそうに頷いた。
「この間の戦闘訓練は、ケイに負けっぱなしだったから、リベンジしたかったんだ」
ロキが挑戦的な声で話すと、ケイも不敵な笑みで見返す。
「ま、ロキが俺に勝てるかどうかは、明日の朝分かるさ」
不敵に笑うロキとルフィーナを見て、晃が嬉しそうに目を細めた。
「じゃあ、明日の朝は、甘くてサッパリしたものを作っておくね」
晃がそう言った途端、ルフィーナが目をキラリと光らせたのだが、その事には誰も気付かなかった。
そんなこんなで翌朝――。
ロキにとって、朝は格闘で始まる。
何故なら、朝は決まってルフィーナが抱き付いてくるからだ。
ところが、今朝は違った。
「……て」
差し込む朝日に顔をしかめるロキを、誰かが優しく揺さぶっている。
「起きて。アナタ」
揺さぶっているのがルフィーナだと気付くまで、少し時間はかかったものの、目を覚ましたロキは、重い瞼をゆっくり持ち上げて周りを確認する。
すると、隣で微笑むルフィーナが居た。
どうやら、いつものように襲うのではなく、揺り起こしてくれたらしい。
「朝じゃぞ? ケイと、朝から稽古するのじゃろう?」
優しく揺り起こしてくれたルフィーナを見て、ロキは一瞬目を丸くしたが、昨日の話を思い出してクスリと笑う。
「おはよう。ルフィーナさん。ケイとクマさんは?
2人は、もう起きてるの?」
「ぬっ? う、うむ。クマは朝食を作っておるし、ケイは食事前に走りに行ったぞ?」
いつもならば、ロキから怒られて、直ぐ部屋から追い出されてしまうだけに、穏やかに話し掛けられたルフィーナは戸惑い気味だ。
「そっか。僕が一番寝てたんだね。じゃあ、直ぐに起きるよ」
戸惑い気味なルフィーナを余所に、ロキはベッドから起き上がる。
すると、すかさずルフィーナがロキへ手を伸ばそうとして、慌ててその手を引っ込めた。
「で、では、妾は、部屋の外で待っておるからの」
「うん。ありがとう」
必死に我慢しているルフィーナに、ロキは笑顔で礼を言うのだった。
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