学校だよルフィーナさん!

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ロキがこれだけルフィーナへ訴えるのには理由がある。 ロキ自身も言っていたが、ロキとルフィーナが通う学校は「エンブ」と言う、ホムラ国内でも有数の進学校だ。 学力は勿論だが、このエンブにはもう一つ、他校より優れた制度がある。 それが「特殊訓練クラス」と呼ばれるクラスであり、ホムラ国でも憧れの就職先である、ホムラ国内の治安維持から、有事の際に戦う役割を担う特殊部隊“森羅”へ入隊出来る、特別枠が貰えるクラスがあるのだ。 もっとも、特殊訓練クラスは僅か10名しか入れず、入る為には、学力は勿論だが、魔力と戦闘力の試験にクリアしなければならない。 今のところ、ロキは学力ではクリア出来る位置にいるのだが、戦闘力ではクリア出来るかあやしい。 だからこそ、訓練の時間を大切にしていると言う訳だ。 ルフィーナも、その事は分かっているようなのだが……。 ロキと戦闘訓練を行う時も、何故か「2人きりじゃと、妾の理性が……」などと言って、ロキに抱き付こうとばかりしてしまう。 現に、ロキがルフィーナへ注意を促している今でも、ルフィーナは決してロキの左腕を放さない。 と言うより、毎朝必ず腕を組んだまま登校するのだ。 実は最初、ロキは腕を組もうとするルフィーナに対して、激しく抵抗したのだが、その度にルフィーナが半泣きの顔でジッとロキを見つめてきた為、結局今では諦めてしまった。 「本当に大丈夫かな?」 腕を抱き締めて放さないルフィーナを見て、ロキが1人ぼやいていると、だんだん学校が見えてくる。 「ルフィーナさん! おはようございます!」 学校が見えてくると、当然のように学生の姿も増えてくる。 すると、道行く多くの学生達がルフィーナに挨拶していく。 「うむ。おはよう」 挨拶されたルフィーナは、威厳を保ちたいのか、低めの声で挨拶を返しているが、ロキの腕を抱き締めたままなせいで、威厳も何もあったものじゃない。 それでも、次々とルフィーナへ挨拶してくる学生達に、ルフィーナは低めの声で挨拶を返していた。
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