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心の叫びが、俺の思いが、過去の彼女に届くなら、俺は何でもしただろう。
…………
私は駆けた。燃えて崩れていく自分の住む町を。
ただ生きていてほしい。絶対に無事だと……
母さん……どこなの?どこにいるの?……
「朱葉……」
「母さん!?」
声が聞こえて安堵していた。無事であったと――。
……
身体中から吐き気がした。何か熱いモノが私の胸から逆流してくる。
それと同時に足から力が抜けて腰が抜けた。思わず座り込んでしまう、その光景は直視することが許されないような無惨な様だった……
「そんな……」
身体中が苦しい。心が苦しい。もう見たくない……
知らぬ間に私は涙を溢していた。そして必死に堪え、物陰に隠れる。
ただ怯え、ただ息を潜めた。なぜそんな行動をとったかなど、私にはわからなかった……
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