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明朝から歩みを進め、境町ハルパレロという町に入った。
朱葉の話では境町であるため、多色の文化、種族、物品などが幅広く出回っているらしい。
そんな貿易の要のような町であっても、朱葉の風貌は特殊だった。
町の中を歩いていたが、突然朱葉が足を止めて俺に顔を向ける。
「君はここで自立しろ」
「えぇ?!」
突然の告白に俺は絶叫してしまう。街の真ん中で大声を上げたため、周りから注目されるのは言うまでもない。
「何か問題か?」
「いや、その……」
しかし、いざ理由を聞かれると答えが口に出ない。
しばらく二人の間には、静寂という冷たいものが包んでいた。
「朱葉、あのさ」
「ん?」
少ししてから話そうとすると肝心なところが出ない。一緒に居たいと、一緒に旅がしたいと言い出せない。
それに夢のことも、まだはっきりとは聞いていないし……
「朱葉、い、一緒に……その、旅がしたいんだ!」
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