プロローグなど

4/24
前へ
/75ページ
次へ
日が上がるまでまだ時間がある。暗闇の中歩みは少しずつ遅れていった。 キルトは少しずつペースを崩して、足を進める速度が落ちていた。それを私も把握している。 「……休もう」 「え?でも――」 「このまま無理をして倒れる気か?それこそ足手まといだ」 「……ごめん」 「謝らなくていい。いいから休め」 「でも、君……朱葉はどうするんだ?」 弱々しい眼で見てくるこいつは、自分のことより私の心配をしていた。 それはそれで余計な気である。私なら大丈夫だし、何よりも今、死にそうなくらい疲労している奴には言われたくない。 ……だが、少しほっとしていたのも確かだ。 「心配無用だ。そのかわり明日はもっと歩くぞ。それでバテるようなら――」 「……スゥ」
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加