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日が上がるまでまだ時間がある。暗闇の中歩みは少しずつ遅れていった。
キルトは少しずつペースを崩して、足を進める速度が落ちていた。それを私も把握している。
「……休もう」
「え?でも――」
「このまま無理をして倒れる気か?それこそ足手まといだ」
「……ごめん」
「謝らなくていい。いいから休め」
「でも、君……朱葉はどうするんだ?」
弱々しい眼で見てくるこいつは、自分のことより私の心配をしていた。
それはそれで余計な気である。私なら大丈夫だし、何よりも今、死にそうなくらい疲労している奴には言われたくない。
……だが、少しほっとしていたのも確かだ。
「心配無用だ。そのかわり明日はもっと歩くぞ。それでバテるようなら――」
「……スゥ」
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