プロローグなど

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夜は刻一刻と夜明けに向かい続ける。深淵の森は少しずつ影を薄くしていった。 そんな中、茂みを疾駆する朱葉が真っ赤に目立つ。 追われてはいない。しかし、早くキルトを安全なところにやりたかった。はっきり言って足手纏いなのだろう。 そんなキルトはまだ目覚めてはいなかった。 ふと足を止める。 「どうして私がこんな……」 不満をついに口に出してしまった。運よく彼は寝ていたが、私らしくない。 なんでこんな気にならなければならないんだ!?もう失うのにも、奪われるのにも慣れたはずなのに! …… 「うぅん、母さん……」 「!?」 背中で呟かれてハッとする。内心の魔が一瞬にして晴れた。 私は何をこんなところで時間を食っているんだ?急ごう……お前の生きるべき場所へ――
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