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そんな2人に気づくはずもない奏斗はと言うと…
「ダーッ!!なんで親父は俺ばっかりに仕事を押し付けるんだ!?
楓、何とかしろ!」
書斎で書類と格闘している奏斗は楓にそう言った。
年末ということもあり、たくさんの書類が上がってくるのだ。いつもは静かな書斎も、ここ数日は使用人達が頻繁に出入りをしている。
奏斗の発言は、無理もない。奏斗の父である国王は、「後継者なんだから書類の整理くらい身に付けなさい」と、あたかも教育しているんだという台詞を言いながらも一番面倒な書類整理を奏斗に押し付けたのだった。
「親父と母さんは?」
「ただいま公務として近隣諸国を外遊なさっています。
それと、陛下からのご伝言です。
『早く書類を終わらせないと、優花ちゃんとのクリスマスがなくなるよ~』
とのことです…」
バキッ!!
楓がそう言い終わらない内に、何かが折れる音がした。
「奏斗様…万年筆が折れてますが…?」
「あんのクソ親父ーツ!!
帰ってきたら覚悟しとけよ?」
こめかみに青筋を浮かばせて、奏斗は持っていた万年筆を真っ二つに折ったのだ。
そんな奏斗に焦らず騒がず対応する楓に、周りを駆けずり回っていた使用人達は小さく拍手をしていた。
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