1人が本棚に入れています
本棚に追加
「つまんない…」
そう呟くのは、この国の王子と婚約した東宮優花。
父・敬彦は国王の右腕として国政に携わっており、その鋭い政治感覚から一目置かれている。
兄・紗輝は王子の親友で小・中・高・大と一緒に学び、何でも話せる間柄だ。
性格は活発で元気…な反面、彼女の過去から不安定な面もある。
「仕方がありませんよ。年末ですし、奏斗様もお仕事をされているんですから…」
ご機嫌斜めな彼女を朗らかな笑みでなだめるのは、優花付きのまりなだった。
「それは分かってるけどさぁ~…クリスマスも近いんだよ?
なのに、ここ3日は会ってないんだよ!?
仮にも婚約してるんだし…
私だって好きって言ったのに…」
照れてどんどん声が小さくなっていく優花に、まりなはクスクスと笑った。
「きっと奏斗様にも考えがあるんでしょう。気長に待ちましょう」
と言うが、優花は近くにあった大きなクッションを抱き、顔を埋めた。
最初のコメントを投稿しよう!