優花×奏斗の場合

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「つまんない…」 そう呟くのは、この国の王子と婚約した東宮優花。 父・敬彦は国王の右腕として国政に携わっており、その鋭い政治感覚から一目置かれている。 兄・紗輝は王子の親友で小・中・高・大と一緒に学び、何でも話せる間柄だ。 性格は活発で元気…な反面、彼女の過去から不安定な面もある。 「仕方がありませんよ。年末ですし、奏斗様もお仕事をされているんですから…」 ご機嫌斜めな彼女を朗らかな笑みでなだめるのは、優花付きのまりなだった。 「それは分かってるけどさぁ~…クリスマスも近いんだよ? なのに、ここ3日は会ってないんだよ!? 仮にも婚約してるんだし… 私だって好きって言ったのに…」 照れてどんどん声が小さくなっていく優花に、まりなはクスクスと笑った。 「きっと奏斗様にも考えがあるんでしょう。気長に待ちましょう」 と言うが、優花は近くにあった大きなクッションを抱き、顔を埋めた。
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