満月の夜

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手に入らない玩具を必死にねだった時のあの感情が、今のそれに近いかもしれない。 届かない何かを欲する様な、そんな気持ちが胸中を征服する。 「…馬鹿みたい」 自分の中のあまりに幼い感情を嘲笑うと、月から目を反らして家路への一歩を再開した。 そしていつしか振り返り思うのだ。 ーー思えばこの晩から、不思議な夢を見るようになったんだ、と。
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