4人が本棚に入れています
本棚に追加
「~記憶はやがて薄れて行くから貴方もいつか忘れるだろう僕と言うモノがいたことさえも歌わせてくれたあの…………っ…………!!」
声が出なかった。
出なくなった。
身体はもう、殆どが崩れる様に消えて、穴だらけになっていた。
喉はもう、消え去っていた。
それでも歌いたい、ただ、その一心で口を動かす。
無駄だと知っていながら、歌おうと必死になる。
次第に暗くなる視界、貴方の為に歌いたかった。
終わる、その瞬間まで。
ずっと、ずっと…………
でも、もう無理なんだ。
もう歌えない。
貴方の為にもう、歌えない。
でも歌いたい。
歌いたかった。
その想いは溢れ出して、止まらなくて、苦しくて。
次第に何かが目に溢れ、零れ落ちる。
無機質で冷たい、
「何か」
が
最初のコメントを投稿しよう!