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4時間目が終わり、
昼休みが始まる。
トンちゃんが寄ってくる。
手には比較的大きなお弁当。
「さー。お弁当お弁当。」
トンちゃんが弁当を開く。
私は目を疑った。
「…カツ丼!?」
「そうだよー。」
食べ物如きでどんだけ嬉しそうな顔するんだ。
「あ、取調ごっこしたいの?」
「違う!ってか古いよ。」
カツ丼=取調
ふるい時代の王道。
誰が言い出したんだ。
「あれ…?刑務所の間違いやっけ?」
「そこじゃない!!」
「んなもん食ってるから太るんじゃねーか。」
声のする方に顔を向けると、
黒い髪をぼっさぼさにしてる男が立っている。
その隣には、真逆の整った長いストレートヘアーの男。
「いいねん。太ってんのは。
脂肪は世界を救うねん!」
「無駄よ。トモ」
「知ってるよ。」
この男はトモ。
ちなみに隣の男はナル。
「いいんじゃないかい?その方が僕の美しさも際立つしね。」
あだなの由来はナルシスト。
「早よ食べようや~。もうウチ腹ペコ。」
どうみても食べ物が詰まっているようにしか見えないお腹してるけどね。
「へいへい。」
二人が椅子に座って弁当を広げる。
私たちともう一人を含めて、私達は幼なじみだ。小中高とずっと一緒。
もはや見飽きた。
「ウインナーもらいっ!」
「太るぞ。」
「はうっ!」
「そうだよ、ぼ」
「黙れ。」
…うるさいなぁ。
ご飯は一人で食べる派なんだけど。
「いいもん。こうなったらやけ食いやで!」
そう言ってトンちゃんがエビフライを頬張る。
…エビフライ?
「こらー!」
「ふぇ?」
「私の弁当返しなさい!!」
やられた。
返ってきた私の弁当には眩しいばかりの白いご飯。
「…」
「ハハハ、討ち取ったり!」
「意味分からん。」
「僕なら…(略)」
「黙れ。」
「トンちゃん。ちょっと外に行こうか(笑)」
トンちゃんの顔がひきつる。
「ぃ、いや、」
「トーンちゃん?」
「だからその~。」
「天誅!」
「止めて~!!」
1分後、トンちゃんだった物はゴミ箱の前に横たわっていた。
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