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つまらない授業が終わった。
4人揃って下駄箱に向かう。
「マナ、ごめんってば~。」
「…」
「まだ怒ってんの?」
「もう…」
「もう…?」
「怒ってないよー!!」
トンちゃんに抱きつく。
いやー、この脂肪気持ちいいんだ。
「置いてくぞ。」
「ああ、ごめん。」
ったく。トモは愛想がないんだから。そんなだからみんなからはみ出されるんだよ。
まぁ、それには別の理由があるけどね。
「またじゃれあってんのかお前ら。」
おっ、この声は。
振り向くとトモと顔立ちの似た人が立っている。
「ライさん。」
トモのお兄さん。
幼なじみ5人組の最後の一人。
「いやー、今日も丸々としてるね。」
その視線上にはトンちゃん。
「それ以上言ったら」
「豚。」
この人だけはトンちゃんの事を豚と呼ぶ。
いくらなんでも…。
「豚って言わんといてー。」
「いつかはな。豚。」
「キー!!」
「置いてくぞ。」
私達の家はそれぞれ同じ方角で結構近い。
ってことで5人で一緒に帰る。
都合のいい事に全員帰宅部というグータラ。
理由は面倒くさいから。
「今日の晩御飯はー」
「豚。」
「共食いだな。」
「ちっがーう!」
いつもこんな感じ。
ちなみにナルはしゃべってないわけではなく、どうでもいいから聞いてないだけ。
実際はひっきりなしにしゃべっている。
「どうかしたのか?」
「ふぇ?」
びっくりした。
ライさんにいきなり話しかけられるとは。
「なんか考え事してるみたいだから。」
結構心配そうな顔をしてる。
この先輩は結構優しいとこがある。
「いや、なんでもない…こともないんですけどね。」
「あれの事だろ。」
『あれ』
ここ3年で世界が大きく変わった要因だ。
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