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0.星に願いを
小さな贈り物をした小さな子供は、その日からずっと公園へ通い続けた。
いるはずのない異星人の男に会うために。
両手で大きなボールを抱えながら。
小さなポケットいっぱいのチョコレートを詰め込んで。
何度も、何度も。
いつまでも子供は男を待ち続けた。
自分達が二度と交わることのない星同士とも知らずに。
やがて季節は移り変わり、秋から冬になった。
初雪が降ったのを境に、子供は公園に行くのを止めた。
それどころか男の話すらしなくなった。
まるで男の事を忘れてしまったかのように。
男の記憶を木枯しが攫ってしまったかのように。
それから月日が流れ、子供は少年になった。
あの頃から少し大人になった子供は、今日も夜道を一人で歩く。
ふと満天の星空を見上げると、一つの流れ星が尾を引いて夜空に消えた。
――運命という名の『星』が動き出した瞬間だった。
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