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OPENING
人間の住む地上から遥か遠く離れた場所にあり、多くの神々や天使が住まう神聖な世界――天界。
永遠の眠りについた魂が次の生を受けるまでの短い期間を過ごす安息の地でもあるこの世界は、地上の数十倍もの広さを有するため、いくつもの――それこそ千を越える大小の地区に分けられていた。
西へ行けば中世ヨーロッパの町並みが広がり、また東へ行けば京の都を思わせる絢爛豪華な邸が建ち並でいた。その他にも各地域に違った景色が広がり、またそこに住む神々の種類も大きく異なった。
天界と聞くと中には『天界とは天国と似たようなものだ』と思う人もいるだろうが、実際は意外にも地上のそれと似ている。
そもそも天国というのは天界のある一地域を指し、キリスト教でいう『天国』とは少しばかり勝手が違っているのだが――。
まぁ、これ以上は少々複雑で小難しい話になるから、この話はここまでにしておいて今度は別の話をしよう。
さて……。
今から話すのは、そんな天界の一角に佇む大きな屋敷の主の話だ。
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