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最近ハマっていたゲームも
やっと一区切り。
小さく息を吐いて
携帯ゲームの電源を切ると、
ふとした違和感に気付いた。
ソファに腰掛けている
足の太股部分に感じる
異様な重量感…。
今更のようにジン…と
痺れを感じて
それにすら気付かない程
ゲームに集中していたのかと
苦笑する。
徐に両手に持った
ゲーム機を持ち上げて、
膝の上に視線を落とすと
頭を膝に乗せて
すやすやと眠る間抜け面。
この俺の崇高なお膝様に無賃で、
その上無言で頭を乗っけるなんざ
本当に良い度胸してますよね?
この幸せそうに眠る間抜け面の側頭部に、
ゲーム機の角を落としたら
どんな反応をするんでしょ…
なんて、楽しい妄想をしていたら。
なにやらごにょごにょ呟いて、
長い睫毛が小さく震えた。
『ん~~~!』とか無駄に声を上げて
間抜け面ご本尊様覚醒…?
無意識にその顔を覗き込む。
俺の膝の上で
上半身だけ捻ると
薄く瞼が開き、
その黒目がちな瞳が俺を見上げる。
悪態をつこうと
口を開きかけた俺に
彼は
愛しそうな目で
それこそ、
まるで大輪の花がゆっくりと開き出すように
にっこりと満面の笑顔を浮かべ
甘い声色で
俺の名を呼んだ。
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