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「退屈だよなぁ…」
ベッドの上でごろごろと転がり、時々呻く。
それを鬱陶しそうな目で見るのは狼燕だ。
"あの事件" から数ヶ月、二人のランクは昇級したものの、受けることのできる任務は限られていたため暇を持て余している日々が続いていたのだ。
身体が鈍らないよう、最初のうちは二人で鍛練を行っていたのだが、牙狼に「お前の攻撃受け止められないんだけど」と言われてしまい、それ以来手合わせをあまり行わなくなってしまった。
平和と言うのはいいものだが、逆に危機感と言うものを忘れさせる。
事実、先程牙狼はベッドで寝返りを打っていたが近くの棚に置いてあった大量の手紙が入った箱が頭上に落ちてきてしまった。
恐らく振動でずり落ちてしまったのだろう、辺り一面に手紙が散らばった。
「何してるんだよ…」
「わりぃ…」
盛大にため息をつきながらも手紙を拾い集める狼燕。
ふと、羊皮紙でできた封筒を見つける。
中を見ると同じく羊皮紙が、きれいに二つ折りにされた状態で入っていた。
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