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「おいひぃ」
揚げパンを口いっぱいに頬張る。
その美味しさにさっきまでのことは忘れているようだ。
美優を見ながら、コーヒーを啜る。
「……彰? 私の顔に何かついてる?」
「い、いやなにも!」
「分かった」
そう言うと、美優はフォークに揚げパンを一口サイズで刺すと、俺の口の前に持ってきて、
「はい、アーン。 彰も食べたかったんでしょ」
それは食べたかったが……間接キスになるのでは。
などと思いながらも、パクッと食べてしまう自分が居た。
「おいしぃ。 ありがと」
「どういたしまして」
美優が揚げパンを完食し、パフェを食べていたとき、
「あっ、お父さんからだ」
美優はポケットから取り出した携帯のディスプレイを見てから、耳に当てる。
電話のようだ。
電話が終わってから、すこし寂しそうな、申し訳なさそうな顔をしながら、
「ごめん、神社に帰らなきゃ」
「えっ」
美優は席を立ってしまう。
忙しくなったのか、お父さんに呼び出されたようだ。
「待って!」
とっさに言う。
ここで告白しなきゃ、こんな機会は二度とない。
「何? でも、今急いでて」
「えっと…………」
黙り込む俺の横に野宮は突如姿を現した。
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