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「人間、カッコつけるときは、つけすぎるなんてことはないものだが」
それだけ言うと、また野宮は姿を消した。
俺は席を立って、美優に向かう。
「美優……俺、お前のことが…………す、好きだ」
断られるかもしれない。
怖いし、こんな大人数の前で恥ずかしい。
だけど美優を焦点にそこだけを見つめる。
「彰……ありがと……うれしい、だけどまだ待って。 気持ちの整理が出来ないから」
「うん、待つよ。 いつまでも」
※※※
町が見渡せるビルの屋上で野宮大黒天は呟く。
「我ら神々は、人間の願いを聞く。
そして、それを叶えるべくチャンスをやる。
だが、直接的に干渉はせぬ。
我らが授けたチャンスを物にし、手にし、掴みとるかどうかは、願った本人の努力次第と言うことだ。
さぁ、青少年よ。 努力しろ。 そして、掴みとれ」
ビルの屋上に冬の冷たい風が吹き荒れる。
野宮大黒天はその風に乗って、神社へと帰還する。
そして今日も、人々にチャンスを授ける。
そして今日も、人々を見守り続ける。
「恋に生きろ、人間共」
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