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「ならば、その願い叶えてやろう !」
背後から唐突に聞こえた叫び声。 その声に振り返った俺の目には、
「――誰、君?」
「私は縁結びの神様、野宮大黒天だ!」
賽銭箱の上に立ち、腕を組ながら無い胸を強調させながら、我が物顔をする。
巫女服を着た見た目十歳程度の少女が、良くわかないことを口走った。
その少女を見た俺は、
「……はいはい、早くお家に帰って寝ようね~」
「わっ、止めろ! 止めるのだ! 罰当たりだぞオマエ!」
取り敢えず此処ではどうしようないな……
抵抗する少女の首根っこを掴んで引きずりながら、その場を立ち去った 。
「で、何者だロリッ子少女」
「だから神様だと言っておろうが! 恋愛絡みならこの神、野宮に任せろ!」
再確認する。
だが、相変わらず頑なに自分を″神様″だと言い張る少女。
仕方ないから俺は、
「じゃあ……美優と今、会わせてくれよ」
簡単な願いを口にする。
どうせ叶えられないだろ、とタカを括っていた。 しかし――
「美優とは、さっきの祈りで言ってた意中の女の名だな。
ふん、簡単なことだ」
少女がそう言うと、仕組まれていたかのように、美優が俺の目の前に現れた。
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