1

8/11
前へ
/11ページ
次へ
そして、数日後。 神社の参拝客も滞ってきた1月3日。 俺は駅の銅像下で、落ち着きを見せず、人待ちをしている。 デートへの待ち合わせは11時なのだが、俺は一時間も早く来てしまっていた。 時はやっと50になり、そろそろ美優も着くんじゃないか。 とキョロキョロし始める。 「――彰」 「ぬわぁ! ……み、美優か?」 「うん」 突如、視界が真っ暗になる。 後ろから美優に目隠しをされたためだ。 でもそのときに、美優とかなり接近していたため、爽やかな香りが俺の鼻を刺激した。 「今日は、彰の奢りだし、い~っぱい食べちゃおっかな!」 目隠しを解くとそんなことを言ってくる。 美優は、白いワンピースに薄黄色のカーディガンを上手に着こなしている。 「あんまり、俺の財布をいじめてあげないでくれ」 「どうしよっかな?」 美優の笑う姿は、本気で天使かと思えて、俺の日々の疲れを吹き飛ばしてくれる。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加