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「それで、なんのためライムはここに?」
むくりと起き上がって、ティトーは尋ねる。
「さっき言っただろう? お前を起こすためだ」
「それさっき聞いた」
「だからさっき」
「え?」
「え?」
「え? まさか本気で起こすためだけ?」
「そう言ってるじゃないか」
「……ちょっとそれははっちゃけ過ぎじゃない?」
もぞもぞとベッドから這い出して、あまりに気軽な「お忍び」をする金紋を困ったように見る。
「大丈夫、いざとなったらティトーが守ってくれる」
「いやいや……あれは」
「友達だから」
ライムはまっすぐ、微笑みを湛えた顔で、ティトーを見つめていた。友達という言葉には、心にずしりと響く重みがある。
「いやまあ、やるけどさ」
今さら恥ずかしくなって、頭を掻きながらティトーは横を向く。ちょうど、香恋と目があった。そして何故か睨まれた。
「……? でも一昨日のはまぐれだから……」
「まぐれで天罰神など呼べるものか。と言いたいが、まあ確かに実力のブレは大きいな」
「うんうん」
「何で満足そうに頷いてんの」
香恋が横から呆れ顔で突っ込む。
「ということで、考えてたことがあるんだ」
「いいよめんどくさい」
「めんどくさがるの早いから」
香恋が横から呆れ顔で突っ込む。
「武器を手に入れる」
「ほらめんどくさい」
「生意気な口きかないの」
香恋が横から。
「というわけで今度の休日は空けておけ」
「明後日? ああ……明後日は残念なことに用事が……」
「嘘だね」
香恋が。
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