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明けましておめでとう
明けましておめでとう。
これまで、単なる挨拶と同じくらいの感覚で使っていたこの言葉が、今年は、感動さえ覚えるほど、感慨深い。
昨年11月の初旬、母の容態が一気に悪化したことがあった。
父にも、妹にも言えなかったけど、その時の私は、今年の年賀状は出せないだろうと悲しい気持ちでいっぱいだった。年が明けるまでの2か月弱、母が持ちこたえるのは無理に思えたからだ。
母が脳腫瘍の摘出と、溜まった髄液の通り道を作るための手術を受けたのは、ちー坊が生まれる2日前。今から1年7か月前だ。
90%成功すると言われたにもかかわらず、摘出はままならず、髄液を通すためのチューブは、絶えず母の嘔吐中枢を刺激した。
50キロと少しあった体重は1か月で40キロを割った。それでも、体が慣れたのか、軽い食事ならできるようになり、退院して、少しずつ頑張っていた。
なのに、頑張りよりも、時として強いものがある。頑張っても頑張っても、吐き気は突然襲ってきては、母の体力を奪ってしまった。
他にどうしようもなく、昨年、胃ろう(胃から流動食を入れるための管)を作る手術をしたものの、術後の経過が悪く、体力は落ち、体重は35キロを割った。
それでも、ずっとベッドの上だけど、以前の元気な母ではないけど、家で今年を迎えられた。
母も、それを側で見ていた父も、本当によく頑張った。明けましておめでとうと言える喜びを、今年ほど感じたことはない。
母は今、半分夢の世界にいる。昨日は、北海道にいる妹の家に遊びに行ったそうだ。
今年1年、夢でもいい、母にとって楽しい年になりますように。みんなみんなが幸せな年になりますように。
どうか、お願いします。
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